丸木舟プロジェクトとは
本プロジェクトでは丸木舟や土器・石器等の制作・使用を通じて、我々のなかの縄文の感覚を再発見していくことを目的とする。
歴史的背景
今日の世界はグローバリズムから反グローバリズムへの転換点にあるように思われる。この変化は2017年、アメリカのトランプ大統領就任から始まる。第2次世界大戦後、世界経済の発展は金融の発展でもあった。この流れは1980年代から始まったグローバリズムによって加速する。グローバリズムとは単に地球規模で「世界が一体化する」ということではない。「金融を中心として世界が一体化する」ということである。金融が投資しやすいように世界の価値や法律の共通化が図られる。金融は利ざやを求めて発展途上国への投資を誘導する。資本は世界を駆け巡り、それを人やモノが追いかける。この結果、先進国では金融業が栄え、製造業は衰退していった。発展途上国は先進国の下請けになった。労働者は窮乏し、いわゆるセレブへの富の集中が起こった。この流れに掉さしたのがトランプである。自国の製造業の復活を指向する反グローバリズムは、現在、アメリカのみならず、世界各地でグローバリズムと対立しているが、コロナ禍とも相まって、やがては前者の世界に移行するものと思われる。
反グローバル世界
反グローバル世界では、国々は各国の独自性を相互に尊重する。国(地域)はその国独自の価値観で経済活動を行なう。貿易や人的交流は、この独自の価値観の尊重の上に成り立つ。
既にいくつかの国ではそのような価値観に基づく国家の再構築が始まっている。例えばアメリカではトランプが主導する反グローバリズムの思想的根拠として「建国の精神」、すなわち、キリスト教的価値観が強調されている。中国では儒教に基づく国家が指向されている。イギリスは既にEU離脱を決め、イスラム諸国も独自の国を作り始めている。
日本の課題
では、日本の価値観とは何だろうか。それは儒教(朱子学)的な幕末の尊王思想やキリスト教的な近代的思想ではないだろう。というのも、日本は本来、儒教やキリスト教のような一神教ではないからである。
絶対神のいない日本では、縄文以来、魂が「この世」と「あの世」を往来する輪廻の思想が信じられてきたようだ。しかし、現在では、儒教やキリスト教などが輪廻思想に不自然に接木され、わけのわからない姿になっているように思われる。日本の価値観を再構築するためには、その原点と言うべき「縄文」を体験し、その視点から現状を捉えなおすことが非常に重要であると思われる。
以上